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ヴァシュロン・コンスタンタン創業270周年記念 コレクション、

「レ・キャビノティエ・ミニットリピーター ‒ 偉大な英雄たちへ敬意を表して ‒」~300時間におよぶ芸術的職人技がもたらした超薄型ミニット・リピーターウォッチ

メゾンの職人のノウハウを称えた手作業によるエングレービングとミニアチュール・ペインティングを組み合わせたグラン・フー・エナメル・ダイヤルに描かれた4人の英雄。異なる時代と文化に生まれた英雄たちの偉大な功績に敬意を表する4つのユニークピース。わずか3.9mmの厚さに265個の部品を収めた、超薄型自社製ミニット・リピータームーブメント、スーパーコピー 時計キャリバー1731を、ハンド・エングレービングを施したケースに搭載。ジュネーブ・シールを取得したハイエンド・シリーズです。

ヴァシュロン・コンスタンタンは、メゾンの創業270周年と卓越性への探求を称え、「レ・キャビノティエ」コレクションから、天文学と古代の冒険心に敬意を表する新シリーズ「ラ・ケットゥ(探求)」を発表します。
技術的、審美的に大きな挑戦となったこれらのタイムピースの製作は、複雑機能を備える時計を装飾技巧によって高めるメゾンの専門性を物語ります。「レ・キャビノティエ・ミニットリピーター ‒ 偉大な英雄たちへ敬意を表して ‒」は、アレクサンダー大王、アンタル(アンタラ・イブン・シャッダード)、チンギス・ハーン、佐々木 盛綱という歴史と神話の英雄たちに敬意を表すとともに、メゾンが創業当時から培ってきた職人技に光を当てます。

18Kイエローゴールド製ダイヤルには、グラン・フー・エナメルのミニアチュール・ペインティングにより、それぞれの英雄の姿を描いています。偉業を成し遂げた風景を背景、手作業によるエングレービングと、マット仕上げ、ポリッシュ仕上げによって表現しています。手作業でエングレービングを施した41mmのケースは装飾芸術の美しさを強調し、内部には超薄型自社製ミニット・リピータームーブメントのキャリバー1731が収められています。そしてチャイムの音色が、ダイヤルに描かれた英雄が勝ち取った栄光を称えます。

人類の冒険と偉大な功績に感銘を受けて
何かを達成し、名誉を手にしたいと思う気持ちは、人間の精神に内在する願望です。さまざまな文化の中で、胸の高鳴る探求と困難を乗り越えて目標を追い続けた偉人たちの伝説が語り継がれています。古くはオデュッセウス(ユリシーズ)の帰還を描いたホメロスの叙事詩から、より近世の物語に至るまで、こうした物語は人類の想像力を刺激し、数えきれないほど多くの世代を探求の旅へと駆り立ててきました。

ヴァシュロン・コンスタンタンは、その270年にわたる歴史の中で、卓越性を探求する姿勢によって自らの存在意義を確立してきました。それは冒険と発見、達成の軌跡は、多くの挑戦と画期的な成果に彩られてきました。その姿勢を導くのは、常に困難に挑戦し、可能性を切り拓くというひとつの精神です。

「レ・キャビノティエ・ミニットリピーター ‒偉大な英雄たちへ敬意を表して ‒」は、この探求心と響き合うシリーズです。人類の冒険と並外れたな偉業の中にこそ、何かを達成するための道を見出すことができるという信念に着想を得て構想されました。4つのタイムピースは4人の英雄への賛歌を奏で、大きな挑戦へと立ち向かった勇気と忍耐、創意工夫と、彼らが後世にもたらした壮大な功績に敬意を表します。

キャリバー1731 -超薄型ミニット・リピーター
ミニット・リピーターは時計であるだけでなく、小さな楽器としての側面も持ち合わせています。それこそが、複雑機構の中で最も習得の困難なもののひとつとされる理由です。技術的な難しさは、ダイヤルに表示された時刻を一連の打鐘へと転化することにあります。そして、鮮明に聞き取れる音と明確なリズム、調和のとれた澄んだ音色で表現しなければなりません。

チャイム機構付き時計に関するヴァシュロン・コンスタンタンの豊かな伝統は、メゾンが1806年に製作した初のミニット・リピーター付き懐中時計と、1935年に発表した初のリピーター付きリストウォッチに遡ります。この伝統を礎として誕生したキャリバー1731は、澄んだ音と外観の美しさを兼ね備え、信頼性と堅牢性に妥協することのない薄型ムーブメントという、複雑な方程式の解を4年にわたり探求した成果です。

メゾンの創業者ジャン=マルク・ヴァシュロンの誕生年にちなんで名付けられ、2013年の「パトリモニー」コレクションで発表されたキャリバー1731は、厚さわずか3.9mmでありながら、手巻きの香箱1つによって65時間のパ
ワーリザーブを実現しました。

チャイムのテンポは、ハンマーがゴングを打つリズムを制御するフライング ストライク ガバナーによって保たれています。この制御装置は、遠心力と求心力という相反する力を利用することで、完全に無音で作動します。音を増幅し、それと同時に明確で澄んだ音色を保つゴングは、ケースに直接取り付けられています。

シースルーのケースバックは、このムーブメントの構造美を披露しています。大半の輪列に加え、ハンマー、ゴング、ストライク ガバナーまでも眺めることができます。

オープン構造の軽やかな外観を際立たせる緻密な仕上げは、技法の組み合わせにより魅惑的な光の戯れを生み出します。 地板に施されたペルラージュ仕上げを、コート・ド・ジュネーブ装飾と手作業で面取りを施した受けと受け石が引き立てます。細部に対するこだわりは、組み立て後には目に触れることのないムーブメントの部品にまで発揮されています。キャリバー1731では、ストライク ガバナーの部品にメゾンを象徴するマルタ十字の形を採用していることもそのひとつです。

希少な装飾芸術の融合が描き出す、英雄の精神
「レ・キャビノティエ・ミニットリピーター ‒ 偉大な英雄たちへ敬意を表して ‒」の4つのユニークピースは、熟練のエナメル職人と彫金師のノウハウが結集しています。
ケースには、タイユ・ドゥース(線彫り)技法を用いて、ダイヤルのテーマと呼応する緻密な模様が彫り込まれています。エングレービングはミニット・リピーターの起動用スライドにまで施され、細部へのこだわりが見て取れるでしょう。

深さわずか0.1~0.2mmの細かな切り込みを金属に何千と施して得られる壮麗な模様は、ケース本体とバックルで約160時間の作業を要しました。

18Kイエローゴールド製ダイヤルには、手作業によるエングレービングとグラン・フー・エナメルのミニアチュール・ペインティングの技が披露されています。

ダイヤルの背景は、マットと光沢のある面を組み合わせた繊細な質感が光を捉え、英雄が栄光を勝ち取った舞台の風景を描いています。それぞれのダイヤル背景を完成させるために、20時間にわたる繊細で正確な作業が求められました。

エングレービングが完了すると、ダイヤルはエナメル職人へと引き継がれました。まず、ゴールド製のダイヤルディスクを保護するため透明な融剤を塗布し、表面を平らにしてから炉で焼成します。次に、ミニアチュール・ペインティングの色彩をゴールドの背景の上で際立たせるため、ホワイトエナメルを用いて、目指す図案のシルエットを2層に重ねて描きます。エナメルは1層塗布するごとに高温で焼成されます。

そして、ミニアチュール・ペインティングの工程に入ります。ここでは、エナメル顔料を砕いて溶いた液を、極細の筆(髪の毛1本ほどの筆もあります)を用いて塗布していきます。入り組んだ図案をごく小さなスペースに描く難しさだけでなく、そこに生命とエネルギー、躍動感を吹き込むという挑戦が課されます。求める色のニュアンスや深みを表現するには合計6~7層のエナメルを必要とし、1層ごとに極度の高温(800~900℃)で焼成します。そ
の後、保護用の釉薬を2層重ね、再び1層ごとに焼成します。

完成したダイヤルは、輝きを高めるため最後に手作業でポリッシュ仕上げが施されました。この工程は些細なミスが取り返しの付かないダメージとなり、その前に行われた何十時間にもおよぶ作業を無に帰してしまうため、難易度が高くなります。それぞれのダイヤルを完成させるのに、エナメル職人が費やす時間は約120時間におよびました。

‒ 偉大な英雄たちへ敬意を表して‒ アレクサンダー大王
アレクサンダー大王(紀元前356~323年)は、マケドニアの王で軍事司令官として古代世界の政治、経済、文化の様相を書き換えました。戦闘で無敗を誇る彼は、単なる征服者ではなく、先見の明を持つ人物でした。カリスマ的リーダーシップ、卓越した知性、戦略眼を兼ね備え、戦場を超えてその才を発揮しました。

18Kイエローゴールド製ダイヤルは、背景にアレクサンダー大王率いる軍勢の槍をモチーフにした模様がタイユ・ドゥース(線彫り)技法で描かれています。一部に柔らかなぼかしを加え、愛馬ブケファロスに跨って戦場を駆けるアレクサンダーの姿により一層の躍動感と力強さを生み出しています。エナメルのミニアチュール・ペインティングによって描かれたこの情景は、精緻な細部と鮮やかな色彩を特徴とします。

18Kホワイトゴールドのケースとバックルには、切り欠きがアレクサンダーの槍を思わせるマケドニア様式の模様が手作業のエングレービングで施されています。

‒ 偉大な英雄たちへ敬意を表して‒ アンタル(アンタラ・イブン・シャッダード)
イスラム以前のアラビアが生んだ最も有名な戦士であり、詩人でもあるアンタル(アンタラ・イブン・シャッダード、528~608年)は、探求に満ちた壮大な人生を歩みました。父のシャッダードはアブス族の首長、母はアクスム王国(アビシニア)への襲撃で奴隷となったアフリカの王女で、両親ともに気高い一族の血を引いていましたが、アンタルは母の境遇により奴隷として育てられました。しかし、彼は並外れた戦士へと成長します。強く、俊敏で、武芸に長け、馬術に秀でていました。また詩作の才にも恵まれていました。父はその才能を認め、アンタルにアブス族の戦士階級に入ることを提案します。彼は自由の身になることを条件にそれを承諾しました。